和もみ(やわもみ)セラピストの万里です。
今日は、
『人の身体の感じ方』についてです。
調べてみたら新たな発見がありました!
こういうことも知っておくとお客様にも伝えられますよね。
ちょっと長くなりますが、
最後まで読んでいただけたら嬉しいです^^
「もっと強くしてください」

お客様から、そう言われることがありますよね。
私もチェーン店で働いているときは、言われる度に
「またか…」
「これ以上『もっと』って言われないといいな。。」
「ああ。。今日は、指オワッタ。。」
喜んでもらいたい気持ちもあるけど、
それ以上に自分の身体がつらかったな~
前回の記事では、
「もっと強く」と言われたときに、強くするのではなく、
・当てる面を狭くする
・体重圧を増やして奥へ
・ガチガチの場合は一層ずつ
そんな手技でできることをお伝えしました。
ここで一つ、考えてみたいことがあります。
そもそも、
人は、どうやって
身体を感じているんだろう?
あんまり考えたことないですよね。
「痛い」「気持ちいい」
「熱い」「冷たい」
「押されている」「重い」
「楽になった」
私たちは、こうした感覚を当たり前のように感じていますね。
でも、
実は身体に刺激が入ったら、そのまま「感じる」わけではないのです。
皮膚や筋肉などにある感覚の受容器が刺激を受けて、神経を通って情報が伝わり、
脊髄などで調整され、最終的に脳がその情報を
「痛い」「触られている」「気持ちいい」などとして認識しているのです。
つまり、
「身体が感じる」だけではなく、
「脳がどう受け取るか」まで含めて、私たちの身体感覚なのです。
■「もっと強く」は、強さが足りないとは限らない

たとえば、
身体のどこかに痛みや強い不快感がずっと続いていたとします。
その状態では、痛みや不快感という感覚がとても大きくなっていて、
ほかの細かな感覚を捉えにくくなることがあるのです。
そのせいで、
「押されているのが、よく分からない」
「気持ち良さが感じられない」
「何をされているのか分からないから、もっと強くしてほしいな~」
ということが起こっているのかも。
だから、
「もっと強くしてください」
と言われたとき、
「まだ足りないんだ」
と考えるだけではなく、
「今、この身体はどんな感覚を感じているんだろう?」
と考えてみる。
これは、セラピストにとって大切な視点だと思う。
■痛みと触覚は、まったく別々ではない

ここで、ちょっと面白い身体の仕組みがあります。
私たちの身体から脳へ送られる情報は、全部が独立しているわけではありません。
痛みの感覚と、痛くない触覚などは、脊髄などで互いに影響し合っています。
これを説明する考え方の一つが、「ゲートコントロール理論」です。
たとえば、
どこかにぶつけたとき、私たちは無意識にそこをさすりますよね。
「痛い!」と思ったところを、手でさする。
さすると、痛みがちょっと和らぎますよね。
これは、さするという触覚の入力が、
痛みの伝わり方や感じ方に影響しているからなのです。
もちろん、実際の痛みの仕組みはもっと複雑で、
これだけですべてを説明できるわけではありませんが。
こんな風に、痛みと触覚は、お互いに影響し合っている。
という考え方は、
身体をどう感じているのか?を理解するうえで大切な視点になりそうです
■「痛み」という大きな音が鳴っているとき

たとえば、身体の中で、
「痛い」
「重い」
「つらい」
「だるい」
という感覚が、ずっと大きな音で鳴り続けているとします。
そこに、マッサージによる新しい感覚が入ってくる。
「触られている」
「そこそこ~」
「気持ちいい」
「温かい」
そんな感覚です。
すると、
「痛みしか分からない」
ような状態から、
痛みとは別の感覚にも気づけるようになる。
そして、その結果として、
「痛みが減った」
と感じることがあります。
もちろん、脳の中で本当に
「100の感覚を60と40に分けている」というわけではありません。
でも、私たちが感じる感覚は、お互いに影響し合っているのです。
だから、痛みや不快感が大きく目立っているときに、
別の感覚が入ってくることで、身体の感じ方そのものが変わることがあります。
■じゃあ、どんな刺激を入れればいい?

ここで、ひとつ大事なことがあります。
「痛みを上回るくらい、強い刺激を入れればいい」
というわけではありません。
むしろ、刺激が強すぎれば、それ自体が
さらなる痛みや不快感につながることになってしまいます。
『イタ気持ちいい』は、要注意!!
だから、
「どれくらい強くするか」
だけを考えるのではなく、
「今この人は、どんな刺激なら“感じられる”のか」
を見る。
やさしい刺激なのか。
少し深い圧なのか。
狭いポイントへの圧なのか。
表面から一層ずつ触れていくことなのか。
その人の身体が、
「そう!そこそこ~」
「ああ~気持いい~」
「さっきより楽になってきた」
と感じられる刺激を探していく。
これが、前回の記事で書いた「手の感覚」にもつながってくるのですね。
だから、「もっと強く」と言われたときも、
「強くする・しない」ではなく、
「今この人は、どんな刺激なら“感じられる”のかな?」
と考えてみてはいかがでしょうか?
■身体の感覚は「鈍くなる」だけではありません

ここは、とても大事なところです。
身体の感覚は、「鈍くなる」だけではありません。
逆に、「敏感になりすぎる」こともあります。
たとえば、本来なら痛くないような軽い触れ方でも痛く感じたり、
ちょっとした刺激を強い痛みとして感じたりすることがあります。
少し押しただけでも痛がるお客様もときどきいますよね。
医学的には、痛くない刺激を痛みとして感じる「アロディニア」や、痛み刺激を通常より強く感じる「痛覚過敏」といった状態があります。
つまり、
「感じにくいから、もっと強くする」
とも限らないし、
「敏感だから、全く刺激を入れない」
と単純に決められるわけでもありません。
人の身体の感じ方は、それくらい複雑なのですね。
■身体は、ちゃんと感じている

私は以前、
「すごく凝っているところは、血流が悪くなっていて、
感覚のセンサーそのものが弱くなっているのかな?」
と思っていました。
でも、身体の仕組みを知っていくと、もっと複雑なんだと分かってきます。
身体には、たくさんの感覚があります。
ただ、その情報がどのように伝わり、脊髄や脳でどう調整され、
私たちが「感じる」という体験になるのか。
そこには、いろいろな仕組みが関わっている。
だから、「感じていない」のではなく、
「今は、感じ方が変わっている」のかもしれません。
そう考えると、セラピストとしてできることも変わりますよね。
昔の私は、
「もっと強く」と言われるたびに、
「もっと強くしなきゃ」と思っていました。
でも今は、少し違います。
「もっと強く」と言われたときこそ、
「この身体は、今、何を感じているんだろう?」
そう考えてみる。
そうすると、
強くする以外にも、できることが見えてくる。
そして何より、
セラピスト自身が、自分の身体を壊さずに施術できる。
私が『和もみ』を伝えているのは、
そんな身体との関わり方を知ってほしいから。
少しでもお役に立ったら嬉しいです^^
